「インフルエンサーに商品を紹介してもらいたいが、ステマにならないか不安」
「ステマで炎上したら、会社にどのような影響があるのか知りたい」
広報・マーケティングの担当者から、こうした相談が増えています。
ステマ(ステルスマーケティング)は、2023年10月1日から景品表示法違反になりました。
2024年6月には規制にもとづく初の措置命令が出され、その後はクリニックから大手製薬会社まで、実際に社名が公表されています。
注意したいのは、炎上や行政処分の火種が「意図的に広告を隠す」ケースだけではない点です。PR表記の付け忘れ、SNS投稿を自社サイトへ転載したときの表記漏れ、口コミへのちょっとした見返りなど、担当者が軽く考えがちな運用から問題が起きています。
そして一度「ステマ」と結びついた社名は、検索結果やサジェスト、生成AIの回答にまで残り続けます。
この記事では、ステマの意味と何が悪いのか、ステマ規制の内容、規制前後の炎上事例10選、企業が取るべき予防策と炎上後の対処法までを解説します。
ステマとは?意味をわかりやすく解説

ステマとは、企業による広告・宣伝であるにもかかわらず、広告であることを隠して、第三者の中立的な感想や口コミのように見せかける行為です。
消費者は「広告なら多少は割り引いて受け取る」「第三者の感想なら参考にする」というように、情報の出どころによって受け止め方を変えています。
ステマは、この判断材料を消費者から奪う点に問題があります。
ステマは「ステルスマーケティング」の略
ステマは「ステルスマーケティング(stealth marketing)」の略です。
「stealth」には「こっそり行う」「隠密の」という意味があり、広告であることを気付かれないように行う宣伝活動を指します。
法律上は「ステマ」という言葉は使われておらず、景品表示法の告示で「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」と定められています。
日本で「ステマ」という言葉が広く知られるようになったのは、2012年ごろです。
飲食店口コミサイトで報酬を受けて高評価を投稿する「やらせ業者」の存在が明らかになったことや、複数の芸能人が報酬を受け取り、実際には落札していないペニーオークションの落札をブログで報告していた問題が相次いで報じられ、社会問題として認識されるようになりました。
ステマは「なりすまし型」と「利益提供秘匿型」の2種類
ステマは、手口によって大きく2種類に分けられます。
| 種類 | 内容 | 具体例 |
| なりすまし型 | 企業が自ら投稿しているのに、無関係の第三者を装う | 社員が個人名義のSNSや匿名ブログで「使ってみたら本当に良かった」と自社商品を褒める |
| 利益提供秘匿型 | 企業が第三者に報酬や商品を提供して投稿させているのに、その関係を隠す | 美容系インフルエンサーが企業から提供された化粧品を「自腹で買った」と紹介し、PR表記をしない |
いずれも、表示内容の決定に企業が関わっているのに、消費者からはそれが分からないという点が共通しています。
ステマにならない「広告だと分かる表示」とは
企業がインフルエンサーに依頼すること自体は違法ではありません。
広告であることが消費者に明瞭に伝われば、ステマには該当しません。
消費者庁は、明瞭な表示の例として「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった文言や、「A社から商品の提供を受けて投稿しています」といった説明文を挙げています。
YouTubeの「プロモーションを含みます」表示や、Instagramのタイアップ投稿ラベルも、この考え方に沿った仕組みです。

ポイントは「表記したかどうか」ではなく「消費者に伝わるかどうか」です。
大量のハッシュタグの最後に「#PR」を紛れ込ませるような表示は、分かりにくいと判断されるおそれがあります。
結論|ステマ炎上で損失が大きくなる企業には4つの共通点がある

この記事で紹介する規制前後の代表事例を整理すると、問題が大きくなりやすいケースには次の4つの共通点があります。
| # | 共通点 | 何が起きているか |
| 1 | PR表記のルールが現場任せになっている | 依頼先のインフルエンサーや代理店が表記を省略・削除している |
| 2 | SNS投稿の「二次利用」を見落としている | 依頼投稿を自社サイトやECページに「お客様の声」として転載している |
| 3 | 口コミへの見返りを販促の一環と考えている | 高評価を条件に割引・特典を付け、評価を実質的に操作している |
| 4 | 疑惑が出た後の説明が遅い・曖昧 | 沈黙や言い訳が「隠している」と受け取られ、疑惑が事実のように定着する |
本記事で取り上げる代表的な措置命令では、依頼したSNS投稿の自社サイト等への転載や、口コミ投稿への見返りの提供が問題となった例が複数あります。
また、2025年以降は東京都による措置命令や、2026年8月の「SNOW」提供事業者2社への措置命令など、執行事例はさらに広がっています。
個別事例では、元のSNS投稿だけでなく、転載先や広告全体で「事業者の表示」であることが一般消費者に明瞭に伝わるかが重要です。
事例の詳細は「ステマで炎上した事例4選(規制前)」と「ステマ規制の違反事例6選(措置命令)」で、対策は「ステマを疑われない・炎上しないための対策」で解説します。
ステマは何が悪い?問題になる5つの理由
「ステマ=悪いこと」というイメージはあっても、具体的に何が問題なのかを説明できる人は多くありません。
ここでは法律・消費者心理・市場の健全性の観点から、ステマが問題視される理由を解説します。
1. 2023年10月から景品表示法違反(違法)になった
2023年10月1日、ステマを不当表示として指定する内閣府告示が施行され、ステマは景品表示法第5条第3号の不当表示として明確に違法になりました。
それまでのステマは、消費者を欺く行為でありながら、商品の効果を偽るなどの別の違反がない限り、取り締まりが難しいグレーな領域でした。
現在は、広告であることを隠す行為そのものが行政処分の対象です。
出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
2. 広告かどうかを消費者が判別できない
通常の広告には「PR」「広告」などの表示があり、消費者は宣伝であることを前提に内容を受け取ります。
一方、ステマは個人の感想や中立的なレビューに見えるため、消費者は広告だと気付かないまま購入を判断してしまいます。
後から事実を知った消費者には「騙された」という感情が生まれ、企業への信頼が大きく損なわれます。
3. 第三者の感想だと誤認させ、消費者の判断に影響する
消費者庁は、消費者が企業の広告・宣伝であれば一定の誇張を含む可能性を考慮する一方、広告だと分からなければ第三者の感想だと誤認し、表示内容をそのまま受け取るおそれがあると説明しています。
つまり、ステマの問題は、広告であることを隠すことで、消費者が情報の出どころを踏まえて判断する機会を失わせる点にあります。
出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
4. 口コミ・レビュー全体の信頼性が損なわれる
口コミやレビューは、本来は消費者同士の情報交換の場です。企業による意図的な投稿が混ざると、その健全性が失われます。
とくに飲食店・医療機関・ECサイトなど、レビュー評価が集客や売上に直結する業界では、少しの不正でも影響は大きくなります。
ステマが発覚すると、当事者の企業だけでなく、プラットフォーム全体の信頼まで揺らぎます。
正直に運営している競合他社にとっても、公平な競争が妨げられることになります。
5. 発覚すると炎上しやすく、記録が残り続ける
ステマは「消費者を騙した」という分かりやすい構図のため、発覚するとSNSで急速に拡散されます。
炎上が沈静化した後も、まとめ記事やSNSのスクリーンショットは残ります。
社名で検索すると「ステマ」という言葉が並び、生成AIが企業を説明する際にも過去の炎上情報が参照されることがあります。
一時的な批判で終わらず、長期的なブランド毀損につながる点が、ステマの大きなリスクです。
ステマ規制(景品表示法)のポイントと罰則

ステマ規制の内容は誤解されやすいため、企業の担当者が押さえておくべきポイントを整理します。
規制の対象は「広告主(事業者)」
ステマ規制の対象は、商品やサービスを供給する広告主の事業者です。
インフルエンサーやアフィリエイター、広告代理店は、原則として規制の対象外とされています。
ただし、これは「インフルエンサーにはリスクがない」という意味ではありません。
法的な処分は広告主に向かう一方で、SNS上の批判はインフルエンサー個人にも向かいます。
また、契約で定めたPR表記ルールを守らなかった場合は、契約内容によっては、契約上の責任が問題になる可能性があります。
違反するとどうなる?措置命令・罰則・課徴金
ステマ規制に違反した場合に想定される主なペナルティは、次のとおりです。
| ペナルティ | 内容 |
| 措置命令 | 消費者庁や都道府県が、違反表示の差し止め、一般消費者への周知、再発防止策の実施などを命じる。社名と違反内容が公表される |
| 措置命令違反の罰則 | 措置命令に従わない場合、行為者は2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金の対象になり得る |
| 課徴金納付命令 | ステマ告示に該当する表示のみの場合は対象外。ただし、同じ広告に優良誤認・有利誤認表示が含まれていれば課徴金の対象になり得る |
実務上もっとも影響が大きいのは、措置命令による社名の公表です。
報道やSNSで「ステマで行政処分を受けた会社」として拡散され、検索結果に長く残ります。
出典:消費者庁「景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?」
規制施行前の投稿も対象になる場合がある
見落とされがちなのが、過去の投稿です。
2023年10月より前に依頼した投稿であっても、施行後も表示が続いていて、広告であることが分からない状態であれば、行政処分の対象になる可能性があると消費者庁は示しています。
過去にインフルエンサー施策やモニター施策を行った企業は、当時の投稿や、自社サイトに転載した口コミを一度棚卸ししておくと安心です。
ステマ規制でよくある誤解
| よくある誤解 | 実際 |
| インフルエンサー本人が処罰される | 規制対象は原則として広告主。ただし炎上や契約上の責任はインフルエンサーにも及ぶ |
| 「#PR」を付ければ何でも問題ない | 表示位置・大きさ・色・ハッシュタグへの埋もれ方などから、分かりにくければ問題になり得る |
| 自社サイトに載せる口コミなら広告だと分かる | 第三者の感想に見える形で依頼投稿を転載すると、ステマに該当し得る(措置命令事例あり) |
| お金を払っていなければステマではない | 無償の商品提供や招待でも、投稿内容に企業が関与していれば事業者の表示とみなされ得る |
| 従業員の個人アカウントなら関係ない | 企業の指示や、立場上の関与がある投稿は事業者の表示と判断される場合がある |

個別の施策が規制に当たるかどうかは、依頼内容や表示全体から判断されます。
判断に迷う場合は、景品表示法に詳しい弁護士へ事前に相談することをおすすめします。
ステマがSNSで起きやすく、炎上しやすい理由

ステマは、X(旧Twitter)やInstagram、TikTok、YouTubeなどのSNSでとくに問題になりやすい傾向があります。
SNSが生活インフラになり、広告の主戦場になった
総務省の「令和7年通信利用動向調査」(2026年5月公表)によると、スマートフォンを保有する世帯の割合は91.8%でした。
また、インターネット利用者の利用目的・用途では「SNS(無料通話機能を含む)の利用」が82.3%で最も高くなっています。
SNSが幅広く利用されるなか、企業によるインフルエンサー施策や口コミ活用も一般化しています。
広告と個人の投稿が同じ画面上に表示されるため、事業者との関係を明示する重要性が高まっています。
匿名投稿とインフルエンサー起用がしやすい
SNSは匿名でアカウントを作れるため、なりすまし型のステマに悪用されやすい環境です。
また、フォロワーの多いインフルエンサーは広告塔としての価値が高く、企業から案件の依頼が集中します。
本人が景品表示法の知識を持たないまま投稿し、後から企業との関係が発覚して炎上するケースも少なくありません。
スクリーンショットで拡散され、削除しても消えない
SNSの投稿は、問題に気付いてすぐに削除しても、スクリーンショットで保存・拡散されます。削除したこと自体が「証拠隠滅」と受け取られ、批判が強まることもあります。
広告と個人投稿の境界が分かりにくい
SNSでは、企業から依頼を受けた投稿と、投稿者が自主的に行った感想投稿が同じ画面上に並びます。
そのため、事業者との関係性が明示されていないと、一般の口コミや個人の感想と誤認されやすくなります。
広告・PRである場合は、投稿全体を見たときに一般消費者が容易に判別できる表示にすることが重要です。
ステマ対策でとくに注意したい商品・サービス

ステマ規制は業種を問わず適用されますが、口コミや体験談が購買判断に大きく影響する商材では、とくに表示管理が重要です。
加えて、健康食品や化粧品、医療分野では、景品表示法以外の広告規制にも注意する必要があります。
| 商材 | 炎上しやすい理由 |
| 美容・健康食品、サプリメント | 体験談や効果訴求が広告に使われやすく、景品表示法に加えて薬機法・健康増進法などの確認が必要になる場合がある |
| 医療機関・歯科・美容クリニック | Googleマップなどの口コミが集客に直結し、高評価への見返りが行われやすい |
| 飲食店・EC | レビュー評価が来店数や売上に直結し、やらせ投稿の温床になりやすい |
| 情報商材・オンラインサロン | 中身が購入前に分かりにくく、「月〇万円稼げた」などの体験談が疑われやすい |
| ゲーム・エンタメ・映画 | クリエイターや著名人の「感想投稿」が一斉に出ると、組織的なPRを疑われやすい |

健康食品や化粧品は、ステマ規制に加えて薬機法や健康増進法の広告規制も重なります。
「PR表記さえあれば安心」とは考えず、表現内容そのものも確認しましょう。
ステマの炎上・違反事例11選【早見表】

ここからは、ステマ規制の施行前に議論を呼んだ事例と、施行後に措置命令を受けた代表的な事例を紹介します。
以下は2026年10月時点で確認できる事例のうち、実務上の注意点が分かりやすい11事例を選んだもので、すべての処分事例を網羅した一覧ではありません。
| 時期 | 事例 | 問題になった点 | 区分 |
| 2019年 | 京都市のお笑い芸人PRツイート | 市が報酬を支払った投稿に「広告」「PR」の明記がなかった | 規制前 |
| 2019年 | 映画「アナと雪の女王2」の感想漫画 | 報酬を受けた漫画家の投稿にPR表記がなかった | 規制前 |
| 2021年 | 豊胸サプリのインスタ投稿 | 根拠のない効果を案件と伏せて投稿させた | 規制前 |
| 2021年 | テレビ局アナウンサーの無償施術 | 無償施術の見返りに美容室のSNSへ登場 | 規制前 |
| 2024年6月 | 医療法人社団祐真会 | 高評価の口コミ投稿を条件に接種費用を割引 | 措置命令 |
| 2024年8月 | RIZAP株式会社(chocoZAP) | 依頼したSNS投稿を自社サイトに転載 | 措置命令 |
| 2024年11月 | 大正製薬株式会社 | 依頼したInstagram投稿を自社サイトに掲載 | 措置命令 |
| 2025年3月 | 医療法人社団スマイルスクエア | 高評価の口コミ投稿を条件にQUOカード提供・治療費を割引 | 措置命令 |
| 2025年3月 | ロート製薬株式会社 | 依頼したSNS投稿を自社サイトに掲載 | 措置命令 |
| 2026年6月 | 高光製薬株式会社 | SNS投稿を自社サイトやECモールに転載 | 措置命令 |
| 2026年8月 | 「SNOW」提供事業者2社 | アプリ利用サービスに関する表示がステマ告示に該当 | 措置命令 |
以下、ご紹介する事例に関して、当社は、ご紹介している事例におけるいかなる関与もしておりません。
以下の内容について一切の責任を負いません。
内容に関するご質問やご対応はできかねますので、あらかじめご了承ください。
ステマで炎上した事例4選(ステマ規制前)

ステマ規制が導入される前は、法的な処分よりも「社会的な批判」によって企業や団体が大きなダメージを受けてきました。
規制導入の議論が進むきっかけにもなった2019年以降の代表的な事例を紹介します。
炎上事例1:京都市のお笑い芸人PRツイート(2019年)
2019年10月、京都市が吉本興業と結んだPR業務の契約にもとづき、人気お笑いコンビが前年に投稿した市営地下鉄やふるさと納税などのPRツイートが、ステマではないかと報じられました。
投稿には「#京都市盛り上げ隊」などのハッシュタグは付いていたものの、「広告」「PR」といった明記はなく、1回あたり25万円、計100万円の対価が支払われていたことも明らかになります。
当初、京都市と吉本興業はいずれも「ステマには当たらない」との見解を示しましたが、この説明がかえって批判を広げました。
財源が税金であることもあり、市には市民から多くの苦情が寄せられ、市の担当者は後に「分かりづらかった」と反省を口にしています。
出典:ORICON NEWS
出典:ねとらぼ
出典:日刊ゲンダイDIGITAL

「ハッシュタグで分かるはず」は、発信する側の思い込みになりがちです。
企業だけでなく自治体や公的機関でも、広告であることの明示が求められる時代になっています。
炎上事例2:映画「アナと雪の女王2」の感想漫画(2019年)
2019年12月、映画「アナと雪の女王2」の公開に合わせて、複数の漫画家がSNSに映画の感想漫画を投稿しました。
投稿のタイミングやハッシュタグがそろっていたことから、公開直後から「ステマではないか」と指摘されます。
その後、投稿が報酬を伴う依頼によるものであったにもかかわらず、広告であることが表示されていなかったことが判明しました。
配給会社は、PR表記を行う旨の共有が関係者間で漏れていたとして謝罪しています。
出典:日本経済新聞

意図的に隠したのではなく「伝達漏れ」でも、世間からはステマとして受け取られます。
大手ブランドほど、関係者が多い施策での表記ルールの徹底が欠かせません。
炎上事例3:豊胸サプリのインスタグラム投稿(2021年)
2021年11月、根拠のない豊胸効果をうたったサプリメントの広告について、消費者庁が販売事業者2社に措置命令を出しました。
Instagramでは「短期間で理想のバストに近づいた」といった趣旨の体験談が投稿されていましたが、投稿者には案件であることを伏せるよう指示があったと報じられ、ステマとしても批判を浴びました。
当時はステマ規制がなかったため、処分の根拠は効果を偽った「優良誤認表示」でした。
現在であれば、広告であることを隠した点についても、ステマ規制の対象になり得ます。
出典:日本経済新聞
炎上事例4:テレビ局アナウンサーの無償施術(2021年)
2021年、テレビ局のアナウンサーが美容室で無償の施術を受け、その見返りとして美容室のInstagramに登場していたことが報じられ、ステマではないかと批判されました。
テレビ局は外部弁護士による調査を行い、社内規定への違反があったと認める一方で、ステマには当たらないとの見解を示しました。
本人もSNSで謝罪しましたが、ネット上では説明に納得しない声も多く見られました。
出典:スポーツニッポン

金銭の授受がなくても、無償提供と投稿の関係が見えれば疑惑は生まれます。
そして疑惑は、公式の説明よりも速く、長く広がります。
ステマ規制後の主な違反事例7選(措置命令)

2023年10月の規制施行後は、ステマが実際に行政処分の対象となっています。
ここでは、消費者庁が公表した代表的な措置命令を時系列で紹介します。
なお、地方自治体による措置命令もあるため、以下はすべての処分事例を網羅したものではありません。
なお、措置命令の対象はいずれも「広告であることを隠そうとした」と断定されたものではなく、一般消費者から見て事業者の表示であることが分かりにくかったと判断されたものです。
違反事例1:医療法人社団祐真会|口コミへの見返り(2024年6月)
2024年6月、ステマ規制にもとづく初の措置命令が出されました。
対象となったのは、クリニックを運営する医療法人です。インフルエンザワクチンの接種で来院した人に対し、Googleマップの口コミ欄に高評価を投稿することを条件に接種費用を割り引くと伝え、実際に星5の口コミが投稿されていました。
消費者庁は、これらの口コミはクリニック側の表示にあたるにもかかわらず、一般消費者にはそれが分からないとして、ステマ告示に該当すると判断しています。
出典:消費者庁「医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について」

「口コミを書いてくれたら割引」は、多くの店舗やクリニックで行われてきた施策です。
評価の内容を指定したり、見返りを付けたりする口コミ施策は、すぐに見直しましょう。
違反事例2:RIZAP株式会社(chocoZAP)|SNS投稿の転載(2024年8月)
2024年8月、コンビニジム「chocoZAP」の広告について、RIZAP株式会社に措置命令が出されました。
この事例では、サービス内容に関する優良誤認表示に加えて、同社が依頼したインフルエンサーによるInstagram投稿を、広告であることを明示しないまま自社のWebサイトに掲載していた点が、ステマ告示に該当すると判断されています。
知名度の高いサービスへの処分だったことから大きく報道され、「SNS投稿の二次利用もステマになる」ことが広く知られるきっかけになりました。
出典:消費者庁「RIZAP株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」
違反事例3:大正製薬株式会社|インスタ投稿の自社サイト掲載(2024年11月)
2024年11月、大正製薬株式会社のサプリメント「NMN taisho」の広告について措置命令が出されました。
同社が第三者に依頼して投稿されたInstagramの投稿を、依頼によるものであることを示さずに自社のWebサイトに掲載していた点が問題とされています。
大手製薬会社への処分として注目を集めました。
出典:消費者庁「大正製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」

SNS上の元投稿にPR表記があったとしても、転載先で広告であることが分からなければ問題になり得ます。
「素材として使う」ときこそ、表記を再確認しましょう。
違反事例4:医療法人社団スマイルスクエア|口コミへの見返り(2025年3月)
2025年3月、歯列矯正の診療所を経営する医療法人社団スマイルスクエアに措置命令が出されました。
来院者に対し、Googleマップの口コミ欄に星5の評価や感想を投稿することを条件として、5,000円分のQUOカードの提供または治療費からの5,000円の割引を伝え、これに応じた人が星5の口コミを投稿していました。
祐真会の事例と同じ手口であり、初の措置命令から1年も経たずに同様の処分が繰り返されたことで、医療・美容業界の口コミ施策に対する行政の監視が続いていることが示されました。
出典:消費者庁「医療法人社団スマイルスクエアに対する景品表示法に基づく措置命令について」

割引だけでなく、QUOカードなどの金券も「見返り」にあたります。
Googleマップの口コミを集客の柱にしているクリニックや店舗は、とくに注意が必要です。
違反事例5:ロート製薬株式会社|SNS投稿の自社サイト掲載(2025年3月)
2025年3月、ロート製薬株式会社の機能性表示食品「ロートV5アクトビジョンa」の広告について措置命令が出されました。
こちらも、同社が依頼したSNS投稿を、広告であることが分からない形で自社サイトに掲載していた点がステマ告示に該当すると判断されています。
大正製薬に続く大手製薬会社への処分となり、同じ手法でのリスクが業界全体に再認識されました。
同じ時期には、東京都もダイエット食品の販売事業者に対し、ステマ告示への該当を含む措置命令を出しており、都道府県による執行も始まっています。
出典:消費者庁「ロート製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」
違反事例6:高光製薬株式会社|SNS投稿のECモール転載(2026年6月)
2026年6月、高光製薬株式会社の「ノビルン」「ノビルンC」の広告について措置命令が出されました。
SNSの投稿者を募集して商品を無償で提供し、投稿を依頼したうえで、その投稿画像を自社サイトや楽天市場・Yahoo!ショッピングの商品ページに「SNSでも大人気」といった形で掲載していたことが、ステマ告示に該当すると判断されています。
自社サイトだけでなく、ECモールの商品ページも規制の対象であることを示した事例です。
出典:消費者庁「高光製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」
違反事例7:「SNOW」提供事業者2社|アプリ利用サービスの表示(2026年8月)
2026年8月、消費者庁は、写真・動画編集アプリ「SNOW」の利用サービスを提供する2社に対し、それぞれステルスマーケティング告示に該当する表示が認められたとして措置命令を行いました。
この事例からも、ステマ規制は商品販売だけでなく、アプリなどのサービスに関する表示にも適用されることが分かります。
SNSや口コミを活用する場合は、媒体や商材を問わず、事業者の関与が一般消費者に明瞭に伝わるかを確認する必要があります。
出典:消費者庁「『SNOW』と称するアプリケーションの利用サービスの提供事業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について」

「無償提供+投稿依頼+転載」は、多くの企業で行われているモニター施策そのものです。
自社のECページやLPに「SNSで話題」「お客様の声」などの表示がある場合は、素材の出どころを確認しましょう。
事例から分かるステマ炎上・違反の4つのパターン

本記事で紹介した代表事例を振り返ると、問題が起きるパターンは次の4つに整理できます。
1. PR表記の欠落・伝達漏れ
京都市やアナと雪の女王2の事例のように、関係者が多い施策ほど、PR表記のルールが途中で抜け落ちます。
依頼時の指示書や契約書で、表記の文言と位置まで具体的に定めておくことが必要です。
2. 口コミへの見返り・評価の誘導
祐真会やスマイルスクエアの事例のように、割引や金券と引き換えに高評価を集める行為は、レビューの信頼性を根本から損ないます。
規制後は、同じ手口で複数の措置命令が出ています。
3. 依頼投稿の二次利用(転載)
措置命令で繰り返し確認されているパターンの一つです。
SNS上の投稿を自社サイト・LP・ECページへ転載する場合、転載先でも事業者の表示であることが一般消費者に明瞭に伝わるかを確認する必要があります。
4. 疑惑が出た後の説明不足
京都市やテレビ局アナウンサーの事例のように、ステマかどうかの結論とは別に、説明の遅さや曖昧さが批判を長引かせます。
疑惑段階での初動が、その後の風評被害の大きさを左右します。
ステマで炎上した後に企業が受けるリスク

ステマで炎上した場合、問題の投稿を削除するだけでは事態は収まりません。
企業やインフルエンサーには、次のような影響が長期的に及びます。
企業・ブランドへの信用を失う
消費者からの信頼を一度失うと、長年築いてきたブランドイメージが大きく傷つき、売上の減少につながります。
SNSでは過去の投稿や広告まで掘り返され、関係のない施策まで疑われることもあります。
措置命令を受け、社名が公表される
ステマ規制に違反すると、措置命令とともに社名や違反内容が公表されます。
ニュースで報じられれば、取引先や金融機関、採用候補者の目にも触れ、影響は消費者対応だけにとどまりません。
インフルエンサーとの契約解除・損害賠償トラブル
炎上したインフルエンサーは、他社の案件を失ったり、契約を解除されたりするリスクがあります。
企業とインフルエンサーの間で「表記の指示があったか」「誰の責任か」をめぐって、損害賠償の問題に発展することもあります。
検索結果・サジェスト・生成AIに「ステマ」が残り続ける
炎上が収まった後も、社名や商品名で検索すると「ステマ」というサジェストが表示されたり、炎上をまとめた記事が上位に表示されたりする状態が続くことがあります。
近年は、ChatGPTやGemini、GoogleのAI Overviewsなどの生成AIが、企業について説明する際に過去の炎上記事を参照するケースも増えています。
「昔ステマをした会社」というイメージが、検索とAIの両方で固定されてしまう点に注意が必要です。

炎上対応は「発生直後の対応」と「その後の検索結果・AI回答への対処」の2段階で考える必要があります。
ステマを疑われない・炎上しないための対策

ステマの炎上には、意図的なものだけでなく、表記漏れや認識のずれによって起きるものも多くあります。
企業とインフルエンサーの双方がトラブルを避けるための対策を紹介します。
「広告」「PR」を分かりやすい位置に表示する
企業から報酬や商品提供を受けて紹介する場合は、「広告」「PR」「プロモーション」など、広告であることが分かる表示を必ず入れましょう。
表示する位置も重要です。
投稿の冒頭やタイトル付近、動画であれば冒頭のテロップと音声など、消費者が最初に認識できる場所に置きます。
ハッシュタグの羅列に埋もれさせたり、背景に溶け込む色で表示したりするのは避けましょう。
無償提供・招待を受けた場合も関係性を明示する
金銭の報酬がない場合でも、商品の無償提供やイベント招待を受けて投稿するなら、「〇〇社から商品提供を受けています」のように関係性を明示しましょう。
事例で紹介した無償施術のケースのように、見返りの関係が後から見えると、ステマでなくても疑惑として炎上するおそれがあります。
SNS投稿を自社サイトに転載するときも広告表示を残す
規制後の措置命令事例で目立つのが、依頼投稿の二次利用です。
インフルエンサーやモニターの投稿を、自社サイト・LP・ECモールの商品ページ・バナーなどに掲載する場合は、転載先でも広告であることが分かるように表示しましょう。
元投稿のPR表記部分をトリミングして使うことや、依頼投稿を「お客様の声」「SNSで話題」として一般の口コミと混ぜて掲載することは避けるべきです。
口コミ投稿に見返りを付けない
「高評価を投稿したら割引」「星5のレビューでプレゼント」のように、評価の内容を条件にした特典は付けないようにしましょう。
口コミを増やしたい場合は、評価の内容を指定せず、よい評価も悪い評価も自由に投稿できる形にすることが基本です。
契約書・依頼書にPR表記ルールを入れ、公開前に確認する
インフルエンサーの中には、景品表示法の知識を十分に持たないまま活動している人もいます。「自由に紹介してください」と商品だけを渡すと、表記漏れのリスクが高まります。
契約書や依頼書には、PR表記の文言・位置・禁止事項を具体的に記載し、投稿前に企業側で内容を確認するフローを組み込みましょう。
代理店やキャスティング会社を通す場合も、最終的に処分を受けるのは広告主である点を忘れてはいけません。
公開前に使えるステマ対策チェックリスト
| 確認項目 | 確認内容 |
| 対価関係 | 報酬・無償提供・割引・招待など、投稿者との利害関係を把握しているか |
| 表示の文言 | 「広告」「PR」「プロモーション」など、広告だと分かる言葉を使っているか |
| 表示の位置 | 投稿の冒頭や動画の冒頭など、消費者が認識しやすい位置にあるか |
| 表示の見やすさ | 文字の大きさ・色・表示時間が十分で、ハッシュタグに埋もれていないか |
| 二次利用 | 自社サイト・LP・ECページ・バナーへの転載時にも広告表示を残しているか |
| 口コミ施策 | 評価の内容を条件にした特典や見返りを付けていないか |
| 過去の投稿 | 規制施行前に依頼した投稿や転載素材が、表示のないまま残っていないか |
| 従業員の投稿 | 社員が自社商品をSNSで紹介する際のルールを定めているか |
| 契約・依頼書 | PR表記の文言・位置・修正ルールを明記しているか |
| 表現の内容 | 効果の誇張やNo.1表示など、景品表示法・薬機法上の問題がないか |
ステマで炎上してしまった場合の対処法

万が一ステマで炎上した場合は、初動の速さと誠実さが被害の大きさを左右します。
事実確認を行い、問題の表示を特定・修正する
まず、問題とされている投稿や掲載ページを特定し、依頼内容・報酬や提供の有無・表記の指示などの事実関係を確認します。
必要に応じて表示の修正や掲載停止を行いますが、投稿を黙って削除すると「隠蔽」と受け取られるおそれがあります。
修正・削除する場合は、その経緯を説明できるようにしておきましょう。
謝罪・説明文を公表する
初動が遅れると、憶測やデマが広がります。
事実確認ができた段階で、速やかに謝罪・説明文を公表しましょう。
謝罪文には、次の要素を盛り込むことが重要です。
「誤解を招いた」など責任をぼかす表現は、かえって批判を強めることがあるため注意しましょう。
法的な判断は弁護士に相談する
消費者庁から調査を受けた場合や、インフルエンサーとの間で責任の所在が問題になった場合は、早めに景品表示法に詳しい弁護士へ相談しましょう。
違反の疑いがある場合には、事業者が是正措置計画を申請し、認定を受ける「確約手続」という制度もあります。
どの対応を取るべきかは、専門家の判断を仰ぐのが安全です。
炎上後に検索結果・生成AIに残る「ステマ」情報への対処法

謝罪や法的な対応が一段落しても、「ステマ炎上」の風評被害は長く続きます。正当な批判や報道記事を削除することは一般的に難しいため、正確な情報が目に入りやすい状態をつくる対策が中心になります。
サジェスト対策
Googleなどの検索窓に社名を入力したとき、「〇〇 ステマ」のように表示されるキーワード候補をサジェストといいます。
サジェストに「ステマ」が表示されると、企業名を検索したユーザーが過去の炎上や疑惑を認識するきっかけになることがあります。
サジェスト対策は、こうしたネガティブなキーワードの表示を減らすための対策です。
逆SEO対策
炎上をまとめた記事やネガティブなページの検索順位を下げ、公式情報や正確な情報が上位に表示されるようにする対策です。
削除ではなく、検索結果の構成を整え直すアプローチになります。
生成AIに参照される公開情報の整備
ChatGPTやGeminiなど、Web上の情報を検索・参照して回答する生成AIでは、企業の公式情報や第三者メディアの記事が回答材料になる場合があります。
炎上後は、事実関係、是正内容、再発防止策などを公式サイトで明確に公開し、情報を更新し続けることが重要です。
ただし、特定の情報を公開したからといって、生成AIの回答内容や引用元を直接コントロールできるわけではありません。
株式会社アクシアカンパニーでは、こうした公開情報の整備や検索上の情報設計を含む支援を「ブランドLLMO対策」として提供しています。

株式会社アクシアカンパニーでは、サジェスト対策・逆SEO対策・ブランドLLMO対策を通じて、炎上後のブランドイメージ回復とリスクの最小化を支援しています。
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ステマに関するよくある質問
ステマやステマ規制について、よく寄せられる質問をまとめました。
ステマとは簡単に言うと何ですか?
企業の広告であることを隠して、第三者の感想や口コミのように見せかける宣伝行為です。「ステルスマーケティング」の略で、2023年10月1日から景品表示法違反となっています。
ステマはいつから違法になりましたか?
2023年10月1日からです。
ステマを景品表示法の不当表示に指定する告示が施行され、2024年6月には初めての措置命令が出されました。
ステマをしたインフルエンサー個人も処罰されますか?
ステマ規制の対象は原則として広告主の事業者で、インフルエンサーは対象外とされています。
ただし、SNS上での批判や案件の減少、契約違反による損害賠償など、法的処分以外のリスクはインフルエンサーにも及びます。
「#PR」と書けばステマにはなりませんか?
「#PR」の表示は有効な方法のひとつですが、書けば必ず問題ないわけではありません。
大量のハッシュタグに紛れている、文字が小さく読みにくいなど、消費者に広告だと伝わりにくい表示は、ステマと判断されるおそれがあります。
商品を無償でもらって投稿するのはステマですか?
企業から投稿を依頼されたり、投稿内容に企業が関与していたりする場合は、無償提供でも事業者の表示とみなされる可能性があります。
「商品提供を受けています」などと関係性を明示して投稿しましょう。
ステマ炎上の記事やサジェストは消せますか?
名誉毀損やプライバシー侵害などの権利侵害にあたる投稿は削除請求の対象になりますが、事実にもとづく批判や報道記事を削除することは一般的に困難です。
その場合は、サジェスト対策や逆SEO対策で検索結果を整え、ブランドLLMO対策で生成AIが参照する情報を整備する方法が現実的です。
まとめ|ステマの炎上を防ぐには「表記ルール」と「転載の管理」が鍵
ステマは消費者の信頼を裏切る行為であり、2023年10月からは景品表示法違反として措置命令の対象になっています。
規制後の措置命令を見ると、口コミへの見返り、SNS投稿の自社サイト等への転載、広告主体が分かりにくい表示など、日常的な広告運用の中で問題が生じた事例が確認されています。意図的に隠したかどうかだけでなく、一般消費者が事業者の表示だと判別できるかが重要です。
炎上を防ぐためには、次の3点を徹底しましょう。
それでも炎上してしまった場合は、速やかに事実確認と説明を行い、必要に応じて検索結果や、生成AIが参照し得る公開情報の整備まで視野に入れることが大切です。
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ステマは「悪い会社がやること」ではなく、運用ルールが曖昧な会社ほど起こしやすい問題です。自社の施策に当てはめながら読み進めてください。