「社員から内部告発を受けたが、どう対応すべきかわからない」
そんな不安を抱えていませんか?
内部告発は、企業の信頼・ブランドを大きく揺るがすリスク要因です。
対応を誤れば、SNS炎上や検索結果での風評被害、さらには法的責任に発展する可能性もあります。
本記事では、内部告発が企業に与える影響や正しい初動対応、再発防止のための対処法までを徹底解説します。
あわせて、風評拡散を防ぐネットリスク対策の重要性についても紹介しますのでぜひ参考にしてください。
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コンテンツ目次
内部告発されたら企業がまず取るべき初動対応

内部告発された会社は、通報内容の事実確認や証拠の保全、中立的な調査体制の構築、通報者の保護、社内での情報共有、そして外部の専門機関への相談など、冷静かつ迅速に行うべき対応があります。
ここでは、企業がとるべき初動対応の具体的ステップを解説します。
通報内容の事実確認と証拠の確保を行う
内部告発された会社が最優先で行うべきなのは、通報内容の事実確認と証拠の確保です。
初動を誤ると、社内混乱に加え、法的責任や風評リスクの拡大を招きます。
厚生労働省は、「外部の労働者等からの通報に対する事務手続」において、企業に対し通報後の迅速かつ公正な調査を求めています。
参考:厚生労働省
公益通報者保護法の観点でも、通報の真偽を見極める合理的な調査は信頼回復に不可欠です。
書類やメールの精査、関係者へのヒアリングなど、客観的な証拠を集めることが求められます。
企業は冷静に通報内容を分析し、証拠確保の体制を整えることが重要です。
書類やデジタル記録の保全、関係者への聞き取りを迅速に行い、客観的に調査を進めましょう。
結果として、風評被害や法的トラブルの回避につながります。

内部告発への初動対応では、事実確認と証拠保全が最優先です。ここを誤ると、法的責任や信頼失墜につながるリスクが高まります。
中立性のある調査チームを速やかに編成する
内部告発された会社は、法務・人事・コンプライアンス担当などによる社内調査チームを編成し、必要に応じて社外専門家や第三者委員会の活用が重要です。
これにより調査の中立性・公正性を確保できます。
法務・人事・コンプライアンス担当を中心としたチーム編成は、利害関係の排除に有効です。
また、外部の弁護士や公認会計士などによる第三者委員会の設置は、調査の客観性を高める手段とされています。
この方法は、日本弁護士連合会のガイドラインでも推奨されています。
社外取締役や第三者委員会など外部の目を取り入れることで、問題点や改善策を自ら説明できる体制を築くことができます。

内部告発された会社が信頼を守るには、調査の中立性が不可欠です。
社内外の専門家を交えた体制づくりが、事実解明と信頼回復の第一歩となります。
通報者の匿名性と安全を確保する
内部告発された会社では、通報者の匿名性と安全を確保する仕組みを初動段階で整えることが不可欠です。
氏名など個人が特定される情報の漏洩防止、匿名通報対応、通報後のフォローアップまで徹底し、不利益を回避する体制を構築しましょう。
厚生労働省の公益通報者保護法や消費者庁ガイドラインでは、通報者の氏名や所属などを、同意なしに第三者へ共有しないことが明記されています。
実務上も、通報者が匿名希望の場合、これを無視すると報復や二次被害に繋がり、制度自体の信頼を損なうリスクが高まるのです。
通報者が安心して告発できるよう、個人情報の厳格な管理と匿名性の尊重、丁寧な対応が重要です。

通報者の保護なくして、公正な内部調査は成り立ちません。
匿名性と安全を守ることは、通報制度を機能させる前提条件です。
調査方針・スケジュールを社内で明確に共有する
内部告発された会社では、初動段階で調査方針とスケジュールを社内に明確に共有することが重要です。
これにより、調査の透明性が保たれ、関係者の信頼を確保できる体制構築が可能になります。
社内調査の初期対応として、調査方針を決めて周知することは制度の信頼性を支える基礎といえるでしょう。
事実認定から是正、再発防止までを一貫して実施することで、制度の一貫性と実効性が評価されます。
多くの企業は、内部告発を受けた段階で調査方針とスケジュールを明示し、対応全体を社内共有しています。
内部告発された会社は、初動→調査→是正→再発防止の流れを社内で明確に共有することが重要です。
この流れで共有することで、調査の透明性と責任体制を構築できるようになります。

調査方針やスケジュールを事前に定め周知することが、制度の信頼性向上と風評リスクの抑制につながるのです。
必要に応じて外部機関や弁護士に相談する
内部告発された会社は、初動段階で法的リスクや公益通報者保護法対応の観点から、外部機関や弁護士へ早急に相談することが重要です。
通報への対応において中立性を保つには、法律事務所など外部窓口の活用が効果的です。
また、法令違反の可能性を見極めたり、調査の必要性や範囲を判断したりするには、法的な視点が欠かせません。
多くの企業では、社外の弁護士を通報窓口や相談先として活用し、通報対応の信頼性を高めています。
内部告発された会社にとって、社内だけでは法的リスクや制度対応についての判断は難しいといえます。
しかし、外部機関や弁護士に相談することで制度遵守と信頼の確保ができ、リスク管理力の向上につながります。

法的リスクや制度対応を誤ると、信頼回復に時間がかかる恐れがあります。早い段階で専門家の助言を得ることが、重要です。
内部告発されたら企業に生じる悪影響とは?

内部告発された企業には、顧客や取引先からの信頼喪失、採用活動への悪影響、社員のモチベーション低下、損害賠償請求のリスク、行政処分や刑事捜査による罰則、ネット上に悪評が残り続けるといった深刻な悪影響が生じるおそれがあります。
ここでは、内部告発によって実際に起こり得る企業側の悪影響について解説します。
顧客や取引先からの信頼を失う
内部告発された会社では、企業の信用が揺らぎ、顧客や取引先からの信頼を大きく損なうリスクがあります。
信用は、企業にとって欠かせない重要な要素です。
不正や隠蔽体質が明るみに出ると、取引先はコンプライアンス上の懸念から距離を置くことがあります。
特に上場企業では、調達先や取引先にも高い倫理意識を求められる傾向にあります。
不正や疑わしい行為があると、契約を見直したり打ち切ったりすることも珍しくありません。
内部告発された会社は、社会的信用だけでなく、ビジネス上の信用も大きく損なう可能性があります。
信頼を失えば、契約打ち切りや取引停止に直結するため、迅速かつ誠実な対応が不可欠です。

一度失った信用は、取り戻すのに長い時間と多大なコストを要します。内部告発には早期かつ丁寧な対応が、信頼回復や取引継続に重要です。
採用活動に悪影響が生じる
内部告発された会社では、不祥事が公になることで企業イメージが大きく損なわれ、採用活動にも深刻な影響が生じます。
「ブラック企業」というレッテルが貼られやすく、求職者からの応募が減少したり、内定辞退が相次いだりするリスクが高まるのです。
特に、近年の調査では6割以上の求職者が企業の風評情報を就職先選びの判断材料にしているとされています。
内部告発によるネガティブ報道やSNS上の批判が拡散すれば、採用活動への打撃は避けられません。
参考:PR TIMES
このように、内部告発をきっかけに「働きたくない会社」と認識されれば、優秀な人材を確保する機会を失ってしまいます。

採用活動への影響は、不祥事後すぐには現れなくても、長期的に影響を及ぼす可能性があります。
信頼を取り戻すためには、誠実な対応と継続的な情報開示が重要です。
社員のモチベーションが低下する
内部告発された会社では、社内の人間関係や雰囲気が一変し、社員のモチベーションが著しく低下することがあります。
特に通報者と他の社員との間に不信感が生まれたり、「誰が通報したのか」という犯人探しが始まると、職場環境は悪化しやすくなるのです。
職場の人間関係が悪化すると、従業員のやる気が大きく下がることが、厚生労働省の調査(令和2年度)でも明らかになっています。
参考:厚生労働省
さらに、エンゲージメントが下がった社員は、離職や休職のリスクも高まる傾向にあります。
例えば、パワハラを内部告発した後に「雰囲気が悪くなった」といった声が出ると、チームの士気低下や離職に繋がるでしょう。
このように、通報をきっかけに社内の信頼関係が崩れれば、社員全体の士気や連携力の低下につながる可能性があります。

内部告発は組織の健全化に必要ですが、社員の動揺や対立を招くリスクもあります。
丁寧な説明と風通しの良い環境づくりが、モチベーション低下の防止につながります。
損害賠償請求を受ける
内部告発された会社は、不正関与や防止措置の不備が明らかになった場合、通報者や被害者から損害賠償請求を受ける可能性があります。
通報者に対して報復や不利益な扱いをした場合、公益通報者保護法や企業のコンプライアンス義務に違反することになり、企業が法的責任を問われた判例もあります。
法的リスクを回避するためには、通報制度の整備とともに、透明性のある調査と是正措置を徹底する必要があります。
企業が信頼を維持しながら健全な経営を続けるためにも、法令順守を前提とした迅速かつ適切な対応が不可欠です。

損害賠償請求は、企業の対応次第で回避できる場合があります。通報者への配慮や初動対応の丁寧さが重要です。
行政処分・刑事捜査による罰則・取締強化につながる
内部告発された会社では、不正や法令違反が明るみに出た場合、行政処分や刑事捜査の対象となることがあります。
通報をきっかけに監督官庁が立ち入り調査を行い、行政指導や業務停止命令を受ける例も珍しくありません。
悪質と判断されれば、法人や経営層が刑事訴追される可能性もあるのです。
また、東京商工リサーチの調査によれば、2020年度には上場企業48社・50件で不適切な会計処理が発覚しており、不祥事は今も継続的に監視対象となっています。
このように、内部告発された会社は一時的な信用失墜だけでなく、法的な制裁により中長期的に事業への影響が及ぶ可能性があります。
行政や司法の監視下に置かれ、報告義務を負うリスクもあるのです。
信頼回復には時間がかかるため、初動対応を丁寧に行うことが被害の拡大防止につながります。

行政処分や刑事捜査に発展すれば、企業への影響は長期に及びます。
内部告発を軽視せず、早期の是正姿勢が信頼維持には重要です。
ネット上に悪評が残り続ける
内部告発された会社は、告発内容が報道やSNSで拡散されると、その悪評がネット上に長期間残り続ける可能性があります。
一度拡散された情報は、検索結果や口コミサイト、掲示板などに残り続けるため、企業イメージに深刻なダメージを与えます。
とくに「企業名+不祥事」などのワードは、検索上位に残りやすく、解決後も風評被害が続く可能性が高いです。
内部告発された会社にとって、ネット上の悪評は売上減少だけでなく信頼低下も招きます。
情報は長く残るため、企業は迅速かつ誠実な対応が重要です。

企業名と結びついた悪評は、想像以上に長くネット上に残ります。
企業として信頼を取り戻すには、早期対応と継続的な情報発信が大切です。
内部告発されたらどのような対策をすべき?

内部告発された企業は、調査結果を通報者や関係者に誠実に伝え、制度運用と社内文化を是正・再構築し、通報者の安全と匿名性を確保できる窓口の整備、通報者を守るルールや報復禁止の明文化、風評被害への備えとして専門業者への対策依頼など、多面的な対応が求められます。
ここでは、内部告発後に企業が講じるべき主な対策について解説します。
調査結果を通報者・関係者にきちんと伝える
内部告発された会社は、調査結果を通報者や関係者にきちんと伝えることが極めて重要です。
説明を怠れば、「隠ぺいされた」「誠意がない」と受け取られ、再告発や情報漏洩を招くリスクがあります。
消費者庁の調査によれば、「通報したが不正調査や是正措置が行われなかった」と感じた通報者のうち、57.2%が通報を後悔していると回答しています。
参考:消費者庁
こうした結果は、調査結果の不透明さが通報者の不信感を招き、制度全体への信頼を損なう可能性があることを示しています。
また、通報者への対応が不十分だと、「どうせ言っても無駄」という空気が職場全体に広がりかねません。
それが企業風土の悪化や優秀な人材の流出を引き起こすことにもつながります。
通報者に丁寧な説明を行うことは、不信感や犯人探しの連鎖を防ぐ有効な手段です。

内部告発のデメリットを最小限にとどめるためにも、調査と並行して、透明性のある対応と信頼関係の構築が欠かせません。
制度運用と社内文化の是正・再構築を図る
内部告発への対応を実効性のあるものにするには、社内規定の整備や研修、制度の見直しを通じて、社内文化の改善が欠かせません。
これにより、問題を早期に察知し、自ら改善できる健全な職場環境をつくれます。
消費者庁の就労者1万人アンケートでは、従業員300人以上の企業に勤務する人のうち、36.5%が「制度を知らない」と回答していました。
制度は整備だけでなく、現場への周知がなければ実効性を持たないことが明らかです。
内部告発された会社は、制度を整えるだけでなく、実際にきちんと運用し、職場の風土そのものも改善していくことが大切です。

制度は形だけでなく、日常の運用と職場の空気にまで浸透して初めて機能します。
社内文化の見直しこそが、信頼される組織づくりの土台になります。
安全・匿名性を担保する通報窓口を整備する
内部告発された会社がまず整えるべき対処法の一つが、安全性と匿名性が確保された通報窓口の整備です。
通報者は「匿名でも身元がばれるのでは」「告発後に犯人探しをされるのでは」といった不安から、声を上げることにためらいがちです。
制度があっても活用されなければ、問題は表面化しません。
実際、制度が未整備だと、告発者が孤立したり二次被害を受けたりするおそれがあり、内部告発の失敗につながることもあります。
そのため、社内外に通報窓口を設け、完全匿名で守秘義務のある体制を整える必要があるのです。

通報窓口の整備は、企業のコンプライアンス意識を示す重要な取り組みです。
問題の早期発見と深刻化の防止に欠かせません。
通報者保護ルールと禁止措置を明確にする
内部告発された会社は、通報者保護のルールを明文化し、社内に周知徹底することも重要です。
特に「秘密保持」や「不利益取り扱いの禁止」は、内部告発する人の心理的な不安を軽減し、声を上げやすい環境づくりに欠かせません。
通報制度が不透明なままでは、「内部告発しない方がいい」と判断され、問題の隠蔽や放置につながりかねません。
制度を形だけにとどめず、実際に機能する仕組みとして運用することで、再発の防止や風評リスクの軽減につながります。

通報者保護の取り組みは、制度への信頼を高めるだけでなく、企業の誠実さを示す姿勢にもなります。
社内外からの信頼を損なわない運営が可能になります。
専門業者に風評被害対策を依頼する
内部告発された会社は、ネット上のネガティブ情報や風評を抑えるために、専門業者に風評被害対策を依頼することが不可欠です。
専門業者では、主に以下のようなサービスを提供しています。
- 検索エンジン対策(逆SEO)
- サジェスト汚染の改善
- 口コミ対策
- ネットモニタリング
近年、悪品な書き込みなどによる風評被害が増えていることから、逆SEOやサジェスト対策を依頼する企業が急増しています。
被害を防ぐには、迅速に適切な対策を講じてくれる専門業者への依頼が重要です。
専門業者であれば、ネット上の監視や投稿削除の交渉など、包括的な支援を通じて信頼回復につなげてくれます。
たとえば、外部の風評被害対策業者に依頼すれば、内部告発をきっかけに検索上位に表示されたネガティブ記事を逆SEO対策によって圏外に押し下げることも可能です。
また、サジェスト汚染を早期に検知し、検索候補からネガティブワードが表示されないよう適切な対策を講じることもできます。

風評被害は一度拡散すると、自力での対応には限界があります。
専門業者に依頼することでリスクを最小限に抑えることが可能です。
内部告発されたら企業がすべきでないこと

内部告発された企業が絶対にしてはならないのは、通報者に対する報復行為、証拠の破棄や改ざん、初動調査を怠って事態を見なかったことにする対応、経営陣や社内での情報共有を拒む姿勢です。
これらはいずれも事態を悪化させ、社会的信頼の喪失や法的リスクを招く重大な対応ミスとなりかねません。
ここでは、企業が内部告発を受けた際に「してはいけない対応」について、具体的に解説します。
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通報者への報復を行う
内部告発された会社が通報者に対して、解雇・降格・配転などの報復行為を行うことは、法的に絶対に避けるべきであり、企業の信頼を損なう行為です。
公益通報者保護法でも、通報を理由とした解雇や降格、減給、懲戒処分などの不利益な取り扱いを明確に禁止しています。
内部告発された会社が通報者に報復すると、改正公益通報者保護法により重い罰則の対象となります。
主な内容は以下のとおりです。
対象となる行為 | 通報者への不利益な処分(解雇・降格・配転など) |
推定の条件 | 通報後1年以内に処分を行った場合、通報が原因と推定される |
個人への罰則(従業員) | 最長6ヶ月の拘禁、または最大30万円の罰金 |
法人への罰則(企業) | 最大3,000万円の罰金 |
たとえば、内部通告を受けたあとに犯人探しが始まり、疑われた社員が解雇などの報復行為を受けたとすれば、訴訟に発展する可能性があります。
企業が敗訴すれば、世間からの厳しい批判と信頼の失墜は避けられないでしょう。
内部告発された会社は、通報者への報復行為を厳格に禁止しなければなりません。
ルールを制度としてしっかり整え、秘密の保持や不利益な扱いの禁止を明文化したうえで、通報後の対応を丁寧かつ透明に進めることが大切です。
そうすることで、企業としての信頼を守り、法的なリスクも未然に防ぐことができます。

感情的な対応は、組織全体の士気と健全性を損なう大きなリスクです。
通報を冷静に受け止め、組織改善の契機とする姿勢が経営に求められます。
証拠破棄や改ざんを試みる
内部告発された会社が証拠を破棄したり改ざんしようとする行為は、結果的に法的リスクを高める最悪の対応であり、絶対に避けるべきです。
証拠破棄や改ざんは捜査機関の摘発対象となり、企業・関係者とも刑事・民事の処分につながる可能性が高まります。
そうなれば報道やSNSで批判が過熱し、信用を大きく失ってしまう可能性があります。
こうした「証拠隠滅の試み」は、社内の社員にも動揺を与え、「うちは隠蔽体質ではないか」との不信感が広がる原因になるでしょう。
内部告発された会社にとって、証拠破棄や改ざんは最悪の選択です。
むしろ、証拠の保全と適切な対応こそが、構成的かつ透明な対処の第一歩となります。

隠す姿勢は、社内外からの信頼を一瞬で失います。誠実さをもって事実と向き合うことが、企業の未来を守る判断です。
初動調査をせず見なかったことにする
内部告発された会社が初動調査を行わず、問題を放置するのは非常に危険です。
問題を放置すれば、外部告発や行政対応、報道への波及リスクが高まり、経営に深刻な打撃を与える可能性があります。
また、マスコミに報じられると、企業の信頼が急落し、取引停止や採用数減少といった経営打撃につながる恐れもあるのです。
売上減少や取引停止が相次ぎ、最終的に経営危機に陥る可能性も否定できません。
このように初期対応の不備は企業の信用と収益を揺るがす自体を招く可能性があります。
通報内容を丁寧に受け止め、速やかに調査を開始することで、問題の拡大や経営への深刻な影響を未然に防げます。

小さな通報を軽視する姿勢は、組織全体に無関心と不信感を広げてしまいます。
通報に真摯に向き合う文化こそが、内部統制を機能させるうえで欠かせません。
経営陣や社内で情報を共有しない
内部告発された会社が経営陣や関係部署に情報共有をせず、事態を一部で抱え込む対応は極めて危険です。
通報内容を共有しないまま対処しようとすると、ステークホルダーが事態の重大性を把握できず、再発リスクや組織モラルの低下を招くおそれがあります。
通報制度があっても、社内周知や情報共有が不十分だと対応が遅れ、初動調査が機能しないことがあります。
たとえば、内部告発を一部部署だけで抱え込情報を抱え込み、経営陣に報告しなかった場合、現場での是正が遅れ、問題が長期化するおそれがあるでしょう。
その結果、行政指導やメディア報道によって外部に問題が露見し、企業の信頼を大きく損なうケースは少なくありません。
内部告発された会社は、通報内容を信頼できる形で社内共有し、経営層・関係部門と連携して対処する体制を築くことが不可欠です。

情報を共有しないことは、透明性の欠如として社員に不信感を与えかねません。
誰が何を知っていて、何をすべきかを明確にすることが重要です。
内部告発されない企業にするための対処法

内部告発されない企業にするためには、定期的な研修や啓発によってコンプライアンス意識を全社員に根付かせ、モニタリングや内部監査を通じて不正発生を早期に抑止し、さらに制度の運用状況を定期的にレビューして改善を重ねることが欠かせません。
ここでは、企業が内部告発を未然に防ぐために取り組むべき具体的な対策を解説します。
定期的な研修・啓発でコンプライアンス文化を醸成する
内部告発されない企業を目指すには、制度の整備だけでは十分ではなく、社員の信頼を得るための継続的な取り組みが必要です。
従業員が安心して通報できる風土づくりには、コンプライアンスに対する倫理観と理解を浸透させる継続的な教育が欠かせません。
たとえば、定期的な研修を行えば、制度理解が深まり、従業員が安心して声を上げやすい職場になるでしょう。
一方、制度だけ整備して教育や啓発を怠っていれば、問題が起きても通報されず、結果として外部通報や報道で不正が明るみに出る可能性があります。
倫理観を育む基盤は、一朝一夕では作れません。

コンプライアンスは制度よりも人の意識が重要です。
小さな声を拾える職場づくりは、日々の教育と対話の積み重ねから始まります。
モニタリング・内部監査で不正発生を早期に抑止する
企業が内部告発されないためには、不正の兆候を見逃さない体制づくりが重要です。
情報アクセスの制御・ログ分析・定期チェック体制を整え、モニタリングと内部監査を行うことで問題の早期発見・抑止につながります。
このように内部告発された会社は、監視体制を強化し不正を早期に発見・抑止する仕組みが大切です。
これにより、企業の信頼維持とネットリスクの軽減につながります。

不正は起きてからでは遅く、起きる前に察知することが不可欠です。
日常的な監視と内部監査の積み重ねが、企業の健全性を守ります。
制度運用状況を定期的にレビューし改善する
企業が内部告発を防ぐには、制度を作って終わりではなく、その後も見直しと改善を続けていくことが大切です。
公益通報者保護法の改正を機に、多くの企業で通報制度が導入されていますが、制度の「形骸化」が問題視されています。
日本能率協会総合研究所(JMAR)の調査では、「不正があった」「ありそうだ」と感じる従業員は約3割でした。
一方、実際に通報した人はごくわずかで、「通報をためらった」人はその7倍以上にのぼります。
この結果は、公益通報者保護法に基づく制度が形式的に存在していても、現場で機能しておらず、実効性を欠いている実態を示しています。
通報しやすい運用体制の整備が求められます。
内部告発された会社は、制度を「作って終わり」にせず、第三者委員会の設置や外部調査の結果を活用して定期的に見直しを行うことが重要です。
こうした継続的な改善努力によって、制度の信頼性を高め、通報の活用を促進する企業文化が醸成されます。

制度は機能して初めて意味を持ちます。現場の声を反映した定期的な見直しが、信頼される通報体制には大切です。
内部告発する人の心理

内部告発に踏み切る人の心理には、真実や正義を貫こうとする強い信念、社会的責任感や被害者への共感、そして報復や個人的な不満の高まりといった多様な動機が存在します。
ここでは、内部告発に至る人の心理について詳しく解説します。
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・Mさんの逆SEO対策成功事例:ネガティブサイト対策で未来を切り拓く
・ネットで悪評を流されたときの対処法と予防策を解説。企業・個人別に紹介
真実や正義への強い信念に突き動かされる心理
内部告発する人は通報者の多くが「真実を伝えたい」「不正を見過ごせない」といった強い正義感や倫理観に突き動かされて行動しています。
こうした動機は、たとえリスクがあっても内部告発に踏み切る大きな原動力となっています。
たとえば、オリンパスの元社員・濱田正晴氏は、不正を見過ごせないという強い信念から、社内通報制度を通じて上司の不適切な人事を告発しました。
重大なリスクを承知のうえでの行動であり、倫理観に基づく内部告発の一例といえるでしょう。
参考:DQトピックス
このように「曲がったことが嫌い」「真実を伝えたい」という信念は、内部告発の根本的な動機です。
内部告発された会社は、通報者のこうした心理的背景を理解し、誠実に対応する姿勢を持つことが大切といえます。

多くの通報者は「会社を良くしたい」という前向きな意志を持っています。
声を上げた背景にある思いや覚悟をくみ取る姿勢が、企業の信頼回復に繋がります。
社会的責任感や被害者への共感から行動する心理
組織の中で不正や不適切な行為を目にした場合、それを黙認することはさらに大きな被害や不利益を生み出すと感じる人は少なくありません。
特に、その行為によって直接的に被害を受けている人がいる場合、「自分が声を上げなければ被害は広がる一方だ」という使命感が強く働きます。
弱者や立場の弱い人が泣き寝入りする状況を前に、加害行為を止めるために行動することは、単なる自己防衛ではなく公共の利益を守るための選択といえます。
また、このような行動の根底には「社会全体の健全性を守りたい」という意識があります。
内部告発はしばしば組織からの反発や人間関係の悪化といったリスクを伴いますが、それでもあえて踏み切るのは、真実を明らかにすることこそが長期的に見て社会や組織にとってプラスになると信じているからです。
報復や個人的な不満が高まり告発に至る心理
内部告発者の中には、職場内での報復行為や不公平な待遇が原因で、個人的な不満やストレスが蓄積している人もいます。
その結果、匿名での告発や外部機関への通報に踏み切るケースがあるのです。
この心理は、組織の改善というよりも自分自身への仕返しや不正是正への強い欲求から動機づけられます。
社会心理学の調査によれば、自己効力感(自分の行動が状況を変えられるという感覚)がある場合、社員は告発を選びやすい傾向があるとされています。
また、報復を恐れつつも、内部制度への信頼が低いと制度不満から外部通報に踏み込むケースが多いです。
制度への不信や自己防衛から生じる内発的な告発は予期せぬリスクとなるため、匿名性と公平性を担保した信頼性の高い制度整備が不可欠です。

社員の不満が深刻化する前に、日常的な声を拾う姿勢が重要です。
問題が表面化する前の予兆に気づくことがリスク管理には必要です。
内部告発される企業の特徴

内部告発される企業には、組織が不透明で閉鎖的な文化を持ち、内部通報制度が形骸化して相談窓口が機能せず、さらに経営層が不正を隠してチェック機能が働かないという共通点があります。
ここでは、内部告発を招く企業の特徴について詳しく解説します。
組織が不透明で閉鎖的な企業文化を持つ
透明性が乏しく閉鎖的な企業では、意見を言い出しにくい風土が不正の温床となり、最終的に内部告発という「最後の手段」に至ることがあります。
これは、内部告発される企業の典型的な特徴といえるでしょう。
職場で疑問や不安を口に出せない雰囲気があると、従業員の中に不信感が蓄積されていきます。
また、制度が形だけで運用されていない企業文化では、外部告発に至るリスクが高まります。
意見が言いにくい環境や制度不備は告発を招くため、企業には迅速な対応と制度の見直し、丁寧な説明が求められます。

社員の声が届かない職場では、リスクの早期発見が難しくなります。経営層が現場との信頼関係を築くことが大切です。
内部通報制度が形骸化し相談窓口が機能していない
制度が形だけで運用されていない企業文化では、通報制度の周知不足や匿名性の不備が見られます。
その結果、社員が「通報する意味がない」と感じ、外部告発に走るリスクが高まります。
通報制度が名目だけで匿名性も不十分だと、社員は外部告発に傾きやすくなります。
そのため、通報制度は設置だけでなく継続的な運用状況の見直しと周知徹底、匿名性の担保が不可欠です。

制度があっても、使われていなければ意味がありません。
現場の声が集まらない背景には、社員の「信頼の欠如」が潜んでいる可能性があります。
経営層が不正を隠しチェック機能が働かない
経営層が不正を握りつぶし、監査・通報のチェック機能が働かない企業では、通報しても改善されず、最終的に通報者が外部へ訴えるケースが多いです。
内部通報制度が設置されていても、実際に通報を受けた後に適切に調査・是正されなければ、制度そのものへの信頼が失われ、通報者の信頼回復につながりません。
内部通報は情報提供だけではなく、経営トップや監査機能による調査と是正処理が不可欠です。
また、公認会計士協会の資料では、経営者が内部統制を無効化できる立場にいる場合、監査機能が形骸化し、不正が組織内に温存されるリスクが強調されています。
このような企業では通報者が外部告発に踏み切り、結果的に風評被害を招くリスクが高まります。

経営層自らが不正に関与すれば、組織全体の統制機能は崩れます。
信頼される制度の実現には、経営陣の姿勢と責任ある対応が欠かせません。
内部告発が正当化される条件は?

内部告発が社会的に正当化されるためには、公益通報者保護法に基づく条件を満たす必要があります。
特に、社内通報制度が機能していない場合や、通報内容が法令違反にあたる場合には、外部への告発も正当と見なされることがあります。
通報者が法的に保護される条件は、以下のとおりです。
正当化の条件 | 内容の説明 |
違法行為の存在 | 通報内容が法律に違反している(例:粉飾、パワハラなど) |
通報者の立場 | 労働者、元従業員、役員など通報資格を有する者 |
通報目的 | 私的な利益ではなく、不正是正や公益のため |
通報先と手順 | 社内または行政機関など適切な通報先に行っている |
社内対応の不備 | 20日以内に調査が始まらないなど、制度が機能していない場合 |
また、通報者が報復を受けるおそれがある場合でも、公益性が認められれば法的保護の対象となります。
信頼できる通報制度の整備は企業にとっても不可欠です。

内部告発は感情的な行動ではなく、明確な法的条件のもとで正当とされます。
企業も従業員も、その境界線を正しく理解しておくことが重要です。
内部告発が失敗に終わった事例

ここでは、内部告発がうまく機能せず、結果的に失敗に終わった代表的な事例を取り上げます。
匿名で行ったはずの通報でも身元がばれるケースがあり、告発者が不利益を被る例も少なくありません。
それぞれのケースの経緯や背景をもとに、内部告発の難しさについてわかりやすく解説します。
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※以下、ご紹介する事例に関して、
当社は、関係性もとい、ご紹介している事例におけるいかなる関与もしておりません。以下の内容について一切の責任を負いません。内容に関するご質問やご対応はできかねますので、あらかじめご了承ください。
企業の不正を暴いたが、告発者が損をした事例
2007年の北海道の食肉加工会社「ミートホープ」が牛肉表示を偽装した事実が、元常務・赤羽喜六氏の内部告発によって発覚しました。
腐敗肉や外国産肉を「国産牛肉」として販売し、豚肉・鶏肉を混入するなど、悪質な手口が常態化していました。
行政やメディアの初動は鈍かったものの、朝日新聞の記者がDNA鑑定を用いた調査報道を実施し、社長は逮捕され、会社は倒産しています。
告発は当初「匿名」で行われましたが、最終的に身元がばれ、告発者は社内で孤立しました。
「内部告発は本人を滅ぼす」と語ったこの出来事は、公益通報者保護法の課題と内部告発の社会的意義を浮き彫りにした事例です。

制度があっても、告発者が守られなければ正義は実現しません。
通報者保護の仕組みを機能させることは、企業にも社会にも必要不可欠です。
経営陣との対立による告発が報復処分につながった事例
2016年、大王製紙の元課長が、内部告発後の降格・解雇の無効を求めて提訴した事例があります。
東京地裁は懲戒解雇を無効とし、在籍していれば得られた給与の支払いを命じました。
告発内容には真実性が乏しく目的も不適切とされ、降格処分は有効と判断されています。
一方で、子会社への出向命令は懲戒的性質が強く不相応と認定されました。
出向命令権の乱用とされ、企業側の対応が一部不当であったと裁判所は判断しています。
この判決は、内部告発者の保護制度の在り方に大きな課題を投げかけるものであったといえます。
参考:日本経済新聞

経営陣との対立による通報は私的動機と誤解されやすく、公正な評価体制が重要です。
コンプライアンス室が通報者の情報を漏洩した事例
オリンパスの元社員・濱田正晴氏は、上司の不正を社内のコンプライアンス室に通報しましたが、その情報が上司に漏れ、通報者であることが特定されてしまいました。
原因は、コンプライアンス室が通報に関するメールを送る際、誤って上司をCCに含めて送信したことでした。
この事例は、制度が存在しても情報管理が不十分であれば通報者の匿名性が守られず、深刻な報復リスクが生じることを示しています。
参考:東洋経済

通報者情報の取り扱いには、形式だけでなく実務レベルでの慎重さが求められます。
小さなミスが通報制度全体への信頼を失わせることにもつながりかねません。
公益性の高い不正を暴いた勇気ある告発事例
2004年2月、元北海道警察警視長の原田宏二氏は、道警の組織的な裏金づくりを実名で告発しました。
自身も受益者であったと明かし、幹部全員が熟知していると指摘。
この告発は市民の支持を得ましたが、原田氏の自宅には数百通にも及ぶ「裏切り者」「ゴキブリ」「ウジ虫」といった激しい罵詈雑言が書かれた手紙やはがきが殺到しました。
参考:東洋経済

匿名での告発であっても、実名が明らかになるリスクは常に存在します。
組織には、通報者の安全と尊厳を守る強固な体制づくりが求められます。
「内部告発されたら」に関するよくある質問
内部告発されたらどうなる?まとめ
内部告発を受けた会社は、初動対応を誤ると法的責任や信用失墜、風評被害といった深刻な問題に発展します。
とくにSNSや検索結果で社名が拡散されると、採用や取引にも悪影響が及びます。
通報制度の整備や迅速な調査・是正対応に加え、ネット上の情報対策も欠かせません。
専門機関の支援を受けながら、社内外の信頼回復に努めることが重要です。
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